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  日本公認会計士協会から平成22年6月に「会計基準のコンバージェンスと確定決算主義」(租税調査会研究報告第20号)が公表されました。IFRSへのコンバージェンスにより日本の会計基準は急速な変更を余儀なくされています。2016年までには、上場会社の連結財務諸表はIFRSによる開示が義務付けられると見込まれ、税法上の確定決算主義との調整がいろいろな面で問題化されてきています。

 法人税法における確定決算主義は、昭和22年の法人税の申告納税方式への改正時に導入され、昭和40年改正時は「損金経理」要件が明記されました。当該研究報告によりますと「確定決算主義や損金経理要件のメリットとして、課税所得計算の簡便化、課税当局の徴税コスト削減及び税制の簡素化を図ることができる」とされています。「課税当局にとってメリットのある制度ですが、納税者にとっては、逆基準性の問題ないしは税務メリットを享受できないといった問題がある」ことが指摘されています。
 減価償却費の計上処理について見てみましょう。IFRSにおいて、減価償却は固定資産の費消化状況に合わせて償却すべきとされており、仮に定額法が妥当と判断されたとします。税務メリットを考え、定率法を採用すれば、企業会計基準に反する逆基準性の問題を提起することになり、定額法を採用すれば、税務メリットの享受を放棄せざるを得ないという問題が生じてきます。耐用年数の問題も同様であり、会計基準では「経済耐用年数」での償却が求められ、税務基準では「法定耐用年数」での償却が求められます。よって、当該研究報告では、「損金経理要件については、廃止を含め弾力的に見直す措置を講ずることが望まれる。」と結論づけています。
なお、中小企業は、「確定決算主義が放棄され、企業会計上の利益と課税所得計算とのリンクが断たれた場合には、企業会計と税務会計の二重の会計データを作成・保存する必要が生ずる。その事務負担増大の影響度は、大企業より重くなるものと考えられる。この意味で、中小企業に対して確定決算主義がもたらす簡便性のメリットは大きい。」ともされています。【都甲】
 
若吾